「本は読めているのに、テストになるとバツばかり…」
「文章の中に答えがあるって言われるけど、どこを探せばいいのか分からない」
国語のテストを前に、多くの子どもたちが抱えるこの悩み。
実は、原因は「読む力」の不足ではなく、「問いの種類を判別する力」の不足にあります。
私は教員として16年間、国語の授業研究に明け暮れ、小中一貫校の教務主任として「小学校のテスト」と「中学校の入試・定期テスト」の架け橋となるカリキュラムを構築してきました。
その経験から断言できるのは、国語のテストには明確な「攻略パターン」があるということです。
テスト作成者がどのような意図で問題を投げかけているのか。
その裏側にある「3つの問いの正体」を見極めるポイントを、専門的な視点から解説します。
1. ポイント①:【事実抽出型】「宝探し」のルールを理解する
テストの序盤に必ず出てくるのが、
「本文中から〇文字で抜き出しなさい」
「どのようなことですか。次の中から選びなさい」
という問題です。
出題者の意図:証拠を見つける力を試している
この問いで試されているのは、読者の感想ではなく、「本文という現場に残された証拠(根拠)を正確に拾えるか」という客観性です。
- よくあるミス: 自分の知識や常識で「たぶんこうだろう」と答えてしまう。
- 見極め方: 問いの中に「本文の言葉を使って」「抜き出して」という文言があれば、それは「あなたの考えは不要です」というサインです。
【ぱんぷかんの視点!】
私が担任していたクラスで、抜き出し問題の正答率がかなり悪かったことありました。原因を調べると、子どもたちが「自分の感覚?正義感?で答えていた」ことが判明したのです。
その時はこんな問題でした。
「Aさんはなぜ悲しかったのですか。その理由を本文中の言葉で書き抜きなさい。」
この問題は
①問いの中心:理由
②探す場所:本文中
③書く形式:抜き出し
④条件:Aさんの悲しい理由
といった構成でできています。
子どもにとって一番難しいのは①~④のどれだと思いますか?
実は④なんですね。
④は「悲しい理由」を尋ねています。
ところが子ども達はこれを「結果」だったり「状況」だったりと自由自在に(笑)とらえる傾向にあります。
抜き出した答えが
「テストで0点を取ったから」
では不正解です。
なぜならこれは「結果」だからです。
「(0点をとって)お母さんに怒られたから」と書けたら「理由」をかけているので正解です。
大人でも少し混乱しそうですから、子どもにしたら難問かもしれませんね…
2. ポイント②:【因果関係型】「なぜ」を数式のように解く

「傍線部①とありますが、それはなぜですか」という理由を問う問題。
これが国語のテストの心臓部です。
出題者の意図:論理の糸を辿れるかを試している
国語の「なぜ」は、数学の公式と同じです。
【出来事(きっかけ)】+【心の変化・状況の変化】=【傍線部の行動・結果】
この数式を本文から組み立てられるかが勝負です。
- 見極め方: 問いが「なぜですか」で終わっていれば、文末を必ず「〜から。」「〜ため。」で結ぶ準備をします。
- 攻略のヒント: 答えは必ず「傍線部の直前」か「直後」に隠れています。
教務主任が見た「中1の壁」
小中一貫校で見てきた中で、中学生になって急に国語が苦手になる子は、この「論理の数式」を意識せず、感情だけで解こうとする傾向がありました。
【ぱんぷかんの視点!】
特に物語の学習で起こりがちなのですが、物語を読んでいくうちに「自分だけの空想の世界」に入り込んでしまう子どもをたくさん見てきました。
主人公が悲しい、寂しい、うれしい、楽しい、そういった感情は「きっと〇〇だからだ!」って勝手に決めつけてしまうんですよね…
そんな読解をしないためにも普段の授業から「根拠を示す言葉や文章」を見つける、探す習慣はやっぱり大事です。
小学校のうちに「根拠をセットで話す」習慣を身につけることが、最大のテスト対策になります。
3. ポイント③:【抽象・テーマ型】作者のメッセージと「対話」する
最も難易度が高いのが、「作者はこの文章を通して何を伝えたかったのですか」「筆者の主張をまとめなさい」という全体把握の問題です。
出題者の意図:抽象化する力を試している
断片的なエピソードから、共通する「本質」を抜き出す力です。
これは大人になってからビジネスで「要するにどういうこと?」と問われる力と同じ、最高度の読解スキルです。
- 見極め方: 問いが「全体を通して」「筆者が最も言いたいこと」という表現であれば、細部ではなく「結論部分」に注目します。
- 攻略のヒント: 多くの文章では、最初か最後に「伝えたいこと」がまとめられています(頭括型・尾括型)。
【ぱんぷかんの教育哲学!】
「私は教員を退職した後、東日本大震災の被災地で主に被災建物の解体工事で現場責任者を務めました。崩れかけた建物の解体現場では、地盤、天候、建物の構造など、膨大な『危険信号(情報)』が飛び交っていました。
そこで求められたのは、すべての情報を朝礼の時に伝える事ではなく、バラバラな情報を整理し、『今、この瞬間に命を守るために最も重要なことは何か』を一言に集約する力でした。これこそが、国語で学ぶ『要約力』そのものだったのです。
テストで『筆者の主張をまとめなさい』という問題に挑む力は、将来、混沌とした状況で正しい判断を下し、自分や誰かの命を守る力に直結している。私は現場で、身をもってそれを実感しました。」
4. 親子で実践!テスト用紙を「分析」する技術
返ってきたテスト、点数だけを見て一喜一憂していませんか?
それは非常に勿体ないことです。
テスト用紙は、お子さんの「思考のクセ」を映し出す鏡です。
- 間違いの種類を仕分ける: 「事実抽出」で間違えたのか、「因果関係」で間違えたのかを親が仕分けます。
- 「問い」に印を付ける: 問いの末尾(なぜ? どのようなこと? 抜き出し?)に丸を付ける癖をつけさせます。
- 「存在の肯定」を忘れずに: バツがついたのは、その子の能力がないからではなく、単に「ルールの見極め」を知らなかっただけ。「次はこう見ようね」と前向きに声をかけ、「あなた自身の価値は、テストの点数では1ミリも変わらない」ことを伝えてあげてください。
5. まとめ:問いを見極める力は「生きる力」になる
テストの点を上げるためのテクニックは、実は社会に出てから最も必要とされる「相手のニーズを正確に把握する力」そのものです。
教頭試験の面接でも、現場責任者としての交渉でも、相手が「何を問いかけているのか(必要としているのか)」を瞬時に判断できるかどうかが成否を分けました。
国語のテストは、その基礎訓練に過ぎません。
お子さんがテスト用紙を広げたとき、それが単なる苦行ではなく、「出題者との知的な対話」になるように。
元教員として、私はこれからもそのサポートを続けていきます。
🔗 関連リンク
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